謎解きキッチンカー
その時香織は母親が作っていたから揚げを思い出して左右に首を振った。


ここでお昼を食べちゃいけない。


甘いものを買いに来たんだから!


自分自身を叱咤して視線をスイーツのキッチンカーへ移動する。


クレープか、イチゴ飴か、スムージーか。


近づいていってみると甘い香りにまた食欲が刺激された。


クレープの中身はいちごやバナナ。


ナッツにブドウ。


それに惣菜ものの取り扱いもあるみたいだ。


値段は三五0円と随分リーズナブルになっている。


これなら大金を使うこともない。


隣のイチゴ飴はいろいろな種類があって、イチゴがツヤツヤと輝いている。


しかし、イチゴにこだわったお店のようで、値段はひとつ七百円もする。


逆側のスムージー屋さんも、新鮮な素材にこだわっているようで、安くない。


「クレープ……かな」


沢山お小遣いをもらってしまった引け目のようなものを感じていた香織はそう呟いてクレープ屋に近づいた。
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