謎解きキッチンカー
どうしかしてあげたいという気持ちばかりが焦っていて、香織は波打ち際に立ち尽くしてしまった。


たとえば自分が大人だったら、こんな風に迷う前に海に入っていけたかもしれない。


そうでなくても、もっと運動神経がよかったらと思ってしまう。


こんなことなら水泳の授業をサボったりするんじゃなかった。


日ごろの自分の行いを悔いたところで、大きな人影が二人の前に立ちはだかった。


香織は咄嗟に岬くんの手を握り締めた。


恐怖心を押し殺してゆっくりと顔を上げていく。


大きな足。


大きな海水パンツ。


大きなお腹。
< 81 / 138 >

この作品をシェア

pagetop