謎解きキッチンカー
看板に大きく持ち帰りできます! と書かれているから、キャンディーのように包んでくれるはずだ。


香織は前に一度こういう場所でクレープをお持ち帰りしたことがあるから、知っていた。



そうと決まれば買って帰るだけだ。


そっとクレープのキッチンカーの中を確認してみると、頭に白いタオルを巻いたお兄さんが一人で焼いているのが見えた。


さっきの受付の女の人と同じくらいの年齢に見える。


香織からすれば随分と大人で、そしてお姉さんもお兄さんもかっこよく見えた。


アンケート用紙を片手に握り締めて列に並ぼうと振り向いた瞬間、香織は固まってしまった。


なにを食べようか気にしてばかりいたので、クレープ屋さんに長い列ができていることに気がつかなかったのだ。


その列は真ん中の飲食スペースまで伸びていて、大蛇みたいにグネグネと曲がっている。


「こんなに沢山……」
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