死神は死にたがり少女に恋をする
序章 始まりと終わり
第0話
最初は少し気になる程度だった。
そもそもわたしには別に好きな人がいて、でもその気持ちは叶わず、当時もまた恋愛にもがいていた。それでも全然我慢できる程度で、しばらく恋愛はいい、というかできないな、と、そう漠然と考えるくらいだった。
それでも辛いものではあって、当時からしてみれば過去一しんどいものだった。今では、その記録を更新したわけだが。
――そんな中出逢ったのが彼だった。
当時の辛い恋愛から脱却するために、“もっと良い人”を探していた時、どんな人なのか知りたい、もう少し深い仲になってみたいと気になった相手だった。
彼はわたしに好意を寄せてくれていて、「絶対振り向かせるから」って真っ直ぐすぎるくらいの気持ちを真剣にそのまま言うから、その言葉に甘えるように、縋るように、その手をとった。
まさかこんなにも溺れることになろうとは思ってはいなかった――。
彼に惹かれた理由を答えるならば、いくつもある。
癖になっていた貼り付けたような笑顔を「その笑顔嫌い」と言って崩してくれたこと。
そうして泣くことが苦手なわたしを「これなら見えないから」と、抱きしめて泣かせてくれたこと。
わたしのコンプレックスを、「それが君でしょ」と当たり前のように受け入れてくれたこと。周りを気にしすぎるわたしに、「君がどうしたいかだ。自分基準でいい」と言って支えてくれたこと。
付き合っていくうちに、彼の好きなところはどんどん増えていった。
普通に顔も好みだったし、穏やかな声も、わたしを愛おしげに見つめる目も、優しく触れる手も、少し不器用なとこも――
――全部が、大好きだった。
だから、どうしても失いたくなくて。わたしは無自覚に、彼に枷を嵌めていってしまった。
嫉妬や束縛、未来という不確かなものを信じたいがための彼だけに委ねた約束。
そう、自分がよく見えてなくて、相手にばかり委ねて、寄りかかりすぎた結果、彼は折れてしまったのだろう。
――そうして、失ったのだ。「他に好きな人ができた」と言われ、離れていった。
そもそもわたしには別に好きな人がいて、でもその気持ちは叶わず、当時もまた恋愛にもがいていた。それでも全然我慢できる程度で、しばらく恋愛はいい、というかできないな、と、そう漠然と考えるくらいだった。
それでも辛いものではあって、当時からしてみれば過去一しんどいものだった。今では、その記録を更新したわけだが。
――そんな中出逢ったのが彼だった。
当時の辛い恋愛から脱却するために、“もっと良い人”を探していた時、どんな人なのか知りたい、もう少し深い仲になってみたいと気になった相手だった。
彼はわたしに好意を寄せてくれていて、「絶対振り向かせるから」って真っ直ぐすぎるくらいの気持ちを真剣にそのまま言うから、その言葉に甘えるように、縋るように、その手をとった。
まさかこんなにも溺れることになろうとは思ってはいなかった――。
彼に惹かれた理由を答えるならば、いくつもある。
癖になっていた貼り付けたような笑顔を「その笑顔嫌い」と言って崩してくれたこと。
そうして泣くことが苦手なわたしを「これなら見えないから」と、抱きしめて泣かせてくれたこと。
わたしのコンプレックスを、「それが君でしょ」と当たり前のように受け入れてくれたこと。周りを気にしすぎるわたしに、「君がどうしたいかだ。自分基準でいい」と言って支えてくれたこと。
付き合っていくうちに、彼の好きなところはどんどん増えていった。
普通に顔も好みだったし、穏やかな声も、わたしを愛おしげに見つめる目も、優しく触れる手も、少し不器用なとこも――
――全部が、大好きだった。
だから、どうしても失いたくなくて。わたしは無自覚に、彼に枷を嵌めていってしまった。
嫉妬や束縛、未来という不確かなものを信じたいがための彼だけに委ねた約束。
そう、自分がよく見えてなくて、相手にばかり委ねて、寄りかかりすぎた結果、彼は折れてしまったのだろう。
――そうして、失ったのだ。「他に好きな人ができた」と言われ、離れていった。
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