死神は死にたがり少女に恋をする


 “「ずっと好きだよ」って、「ずっと一緒だよ」って、約束したじゃん”

 “こうなるくらいなら、好きにさせないでよ”


 そんなことを思っては、これを招いたのは自分だとわかってはいて、どうしてこんなことをしてしまったんだとか、もっとこうしておけばよかっただとか、後悔に苛まれる。

 わかってる、自分が重い女でめんどくさいやつだって。自分でもそう思う。彼が、潰れてしまう前に逃げてくれてよかったとも思う。

 ただ、行き場のないこの感情は、あまりにも大きすぎて。胸が張り裂けそうになるほどの痛みと共に主張してくる。


 “お前はこんなにあいつのことが好きなんだ”と。
 嫌というほどに訴えてくるのだ。

 日々の生活の中には、彼との時間がたくさん詰め込まれていた。
 彼とお揃いのネックレスはもちろん、彼と出かけた時の服やその時買ったお土産、一緒に撮った写真、一緒に遊んだゲーム、彼に教えてもらって一緒に見た動画、彼が好きでわたしも好きになった音楽――本当にたくさんありすぎて、何かしらが目に入っては彼を想起させて、わたしの胸を締めつける。


 ――こんなにも、好きになってしまった。

 あなたはこんなにも、わたしを好きにさせてしまったの。


 ねぇ、どうしたらいい?


 どうしたら、ラクになれる?



 そうして過ったのは、“死”だった。
 でもわたしには死ぬ勇気もない。
 死ぬにはわたしをここに繋ぎ止めるものが多すぎる。
 かと言って、生きているのもしんどかった。

 ――ただわたしは、これ以上、苦しみたくないだけなんだ。

 感情さえなければどんなにラクなことか。

 そう、感情さえなければこんなに苦しむこともない。そもそも、彼を失うこともなかったはずだ。





 感情さえなければ――……






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