帰らないで
自分の若さに嫌気がさす。
どんなに強く抱き締めたって
腕枕をしてみせたって
34歳の旦那さんは
朱音さんを養っていて。
俺はバイトと親の仕送りで生活しているんだ。
早く一人前になりたい。
立派な大人になって
朱音さんが堂々と訪ねてこれるような隠し通路のある家を作れたら
旦那さんに一年間の海外出張を言いつけれるくらいの権力者になれたら。
なんて
くだらないことばかり思い付くガキな自分が嫌いだ。
だけど
立派な大人になれたら
朱音さんが自分だけのものになるなんて本気で信じるほど
俺はガキじゃない。