吐息ごと奪ってよ
これが恋人同士のデートだったら、、、


そんなことを何度思ったことか。


「さあ、出来たわよ!食べましょ」


「「いただきます」」


向かい合って座り、ひーくんお手製のビーフストロガノフとひーくんの好きな赤ワイン。


記念日でも誕生日でもなんでもない日。


このなんでもない穏やかな時間が、ひとつの電話で終わりへのカウントダウンが始まる。





―プルプル…プルプル



「あら、誰かしら?」


携帯を手にしたひーくんの顔色が一気に上昇した。


あー、、、



チラリと目配せすると、立ち上がって電話に出る



「もしもし、あたし、どうしたの?」


いつもよりワントーン、いやツートーンほど高い


好きな相手からの電話なら当たり前か



ひーくんの楽しそうな話し声を聞きながら、ビーフストロガノフを黙々と食べ進める。



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