吐息ごと奪ってよ
話終えた私は残っていたココアを一気に流し込んだ。

冷たくなったココアが、どれくらいの時間を費やしたかが分かる。


「そう、、、沢山悩んでもがいてたんですね。」

「本当はもう吹っ切りたいんです。でも、彼と過ごした時間そのものが、私の生きてきた人生なんです。だから、簡単にはいかなくて、、、」


「無理に吹っ切らなくていいと思います。それも大事なあなたの時間でしょう?吹っ切ろうとするよりも、それと平行して他のものに目を向けてみるのが最良かと。」


「他のもの、、、ですか?」


「例えば、彼とは異なる趣味や、遊びを見つけるとか。あとは一人になる時間を増やす、とかです。」


「一人で、、、あ!それならしてみたいことがあります。」


「そう、それでいいと思います。少しずつ、無理は禁物ですからね」



国代弁護士はそう言って優しく笑った。





< 24 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop