俺様石油王に懐かれて秘密の出産したら執着されてまるごと溺愛されちゃいました
プロローグ
「一花…… その愛欲に蕩けた顔を、俺以外の男に、見せるなよ」
流暢な日本語で、そう私の耳元で囁くと彼は、額にチュッと口付けた。
続いて、目、鼻、頬にチュッチュッチュッ、と軽くキスを落とす。
自分とは違う彫り深い、整った顔が近ずき、ドキドキし過ぎて上手く息が出来ない。
(ダメ、ダメだ。 この男は危険だ)
頭の中で警告が鳴る。
重ねるだけのチュッっと軽いキスを落とされ、ふと暖かい気持ちが溢れて幸せで、ふふふっ…… と、頬が緩んでしまう。
(好き、好き、大好き…… )
「一花は笑うと、幼く見えるな」
そう言って彼はまた、キスを落とす。
幼い頃から求めて来た、誰かを大切だと思う感情。
一度だけでも、今だけでも、好きな人の暖かい愛に包まれたいと思うのは、罪だろうか?
さっきよりも長く重なって、舌で
「開けて」
と唇をトンットンッ、とノックする。
甘美な誘惑に答える様に、口を少し開けると、口内を弄る様に、肉厚なアミールの舌が侵入し、私の舌を絡めとった。
口蓋を刺激され、舌下を舐められ丁寧に歯列をなぞられる。
舌を吸われると、背中にゾクゾクとした感覚が這い上がった。
「んっ…… 」
次第にお腹の下の方が、キュンキュンとして、私は無意識に体を身動いだ。
息が苦しくなって、ハッと、唇を離すと、混じり合った二人の唾液が、ツーッと銀色の糸を引いて、イヤラしく光る。
「んあっ…… 」
彼は、口から溢れた唾液をペロッと舌で舐め取ると、大切なものを愛でるように、一花の頬をスッと撫でた。
「必死な一花、可愛い…… 」
私を見つめる青の瞳の奥に、絡み取る様な欲を見つけて、嬉しくなる。
「し、仕方ないでしょ、こういう事するの、初めてなんだから…… 」
恥ずかしさで小さく呟いた私に、彼は口角を上げた。
「一花の初めては、全部俺のものだ」
熱い吐息を零しながら囁かれ、大人の色気に翻弄されて、クラクラする。
恥ずかしさで、頬を赤く染めた私は、誤魔化す様に、彼の両手に指を絡ませた。
「俺の恋人になれ」
(ああぁ…… )
心のが熱く熱く燃え上がり、目頭がジワっと熱くなって、涙が浮かんだ。
……私はこの時、この甘美な誘惑に、絆され堕とされたのだ……
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