俺様石油王に懐かれて秘密の出産したら執着されてまるごと溺愛されちゃいました
再会
「ねえ、大変、大変! 今、緊急搬送されて来たの誰だと思う? あの石油王のアミール氏の、婚約者のアイシャよ。」
「不謹慎だけど、私もあんなイメケンにだったら、介抱されたいわ」
色めき立つナースステーション。
「観光中に体調不良で、倒れたらしいけど、もしかしておめでた、とか?」
「……おめでた……」
一花が小さく呟いた音を、同僚が拾った。
「あら? 意外、相葉さんもアミール氏に興味あるんだ。」
彼女はフッと、鼻に含んで笑う。
「だって、ほら……、相葉さんのお子さんも、アッチ系だから」
顎をしゃくりながら言う、先輩看護師の言葉を、一瞬で理解した一花は、頭に血が上った。
「それ、どう言う意味ですか?!」
熱くなった一花に、額に皺を寄せ、片口を上げて笑う先輩看護師。
「言葉通りだけど? 知らないなら教えてあげる。相葉さん、派遣先で現地彼氏に捨てられたって、専らの噂だけど?」
「……っ!」
先輩の言葉に、一花は息を呑む。
「真面目に、仕事しに行ったと思ってたら、帰国して直ぐに、未婚の母になるなんて、看護師として自己管理がなってないって、噂されても仕方ないでしょ」
噂は半分本当で、半分間違い。
アルとルルはハーフだ。
日本人離れした、堀が深く、クリクリとした愛らしいブルーの瞳に褐色の肌、幼児にしては鼻筋の通った、整いすぎる顔は、どこから見ても父親似だ。