俺様石油王に懐かれて秘密の出産したら執着されてまるごと溺愛されちゃいました
出逢い
私がアミールと出会ったのは、三年前。
中東地域で、新種のウィルスが流行し、感染力が強く、現地スタッフがバタバタと倒れ、人手が足りなくなった。
「海外……ですか? しかも新種のウィルス…… 」
不安が全くない、とは言えないが、看護師として、お礼奉公中だった私には、否はなく、予防接種を打つと直ぐ、アラブ首長国連邦に派遣された。
私が派遣された病院は、現地で富裕層がが訪れる比較的、治安の良い場所だった。
その病院の特別室に、アミールは双子の兄、カミールと共にウィルスに感染し、入院していた。
恐ろしく、整った堀の深い顔に、褐色の肌が色気を増幅させている。
思わず息を呑む私に、現地スタッフが、ンンッと、咳払いをした。
「お二人は、この国を代表する石油王だ。決して、粗相のない様に」
厳重に注意され、看護を任された。
兄のカミールは、倦怠感と喉痛みを訴えていたが軽症で、隔離されている不便さを除けば割と元気だった。
気怠そうで、色気がダダ漏れしていて、目に毒だが、仕事、仕事、と気合を入れ、素知らぬフリをして対応する。
全世界を相手に、仕事で取り引きしている事もあって、彼らは日本語も問題なく話せる為、お喋りをしながらの看護で、殆ど手が掛からない。
一方、アミールは高熱が続き、意識朦朧としていて、魘されている事が多かった。
重症化する患者さんも多いと、聞いていたので、目の前の彼が心配で目が離せない。
ウィルス感染蔓延を懸念して、各自担当患者が決められていて、必然的に、彼の看護を、付きっきりでする事が多かった。