俺様石油王に懐かれて秘密の出産したら執着されてまるごと溺愛されちゃいました
「アミールさん、喉乾きましたよね? 少しお水飲みましょうね」
熱で汗を掻くので、脱水症状にならない様に、定期的に薬呑で、水を飲ませる。
水すら飲み込むのが辛い様で、飲み込めなかった分が、口から漏れ落ちるのを、丁寧に拭う。
ハフッハフッと、苦しそうに息をするアミールに、頑張ってと、ギュッと手を握る。
「いっぱい汗かいて気持ち悪いですよね、汗拭きますね」
安心感を与える為に、声を掛けて看護する。
「うぅん…… うぅ…… 」
魘されてるだけかも知れないが、声は届いている様で、アミールから返事が返ってきて、時折握った手をグッと、強く握り返してくる。
「苦しいですよね…お薬で楽になりますからね、頑張って……!」
手を優しく摩る。
こうすると、気のせいかもしれないが、アミールは、力が抜けた様にフッっと、一瞬穏やかな表情に戻る。
マスクで、私の目以外の表情はわからないだろうけど、祈る様に眉をギュッと寄せて、毎日看護を続けた。
答える様にアミールは、時折、薄らと目を開く。
「いつか意識が戻って、貴方とお喋り出来るのを、楽しみにしてますね」
(施設で子供達も、具合の悪い時は寂しがって、声を掛けてあげると、落ち着いたもの。アミールさんだってきっと、同じよね。)
ずっとそばで看病しているせいか、自分でも気が付かないうちに、確実に他の患者よりも、アミールに、情が移っているのは確かだった。