俺様石油王に懐かれて秘密の出産したら執着されてまるごと溺愛されちゃいました
強く 元気に、逞しく!
「やあーっ! ママ〜ッ!」
「ほらアル、あっちで先生が、絵本読んでくれるってよ。 大好きなクマさん居るかな?」
「んーんっ!ない!!」
泣きじゃくり足元にしがみ付き、離れないアルを、病院内にある託児所の先生に預けながら、時計を確認する。
もうすぐ1歳3ヶ月になる双子の子供達は、イヤイヤ時期の真っ最中。
毎朝、仕事に行くまでの恒例の戦い。
業務開始まで、後10分。
ロッカーに駆け込み、手早く着替えたら、申し送りにギリギリ間に合う。
頭の中で時間計算。
「うーた?」
可愛らしく首を傾げるルルは、今日はご機嫌らしく、大好きなうさぎを探す。
「動物園のお話だから、うさぎさんもクマさんも居るよ」
今のうちに行って! と、アルを抱えた先生が目配せをする。
「すみません!」
私は顔の前で手を合わせる。
泣きじゃくる、アルの声に、後ろ髪を引かれる。
(どうしよう…… 今日も我が子達が、可愛すぎる)
全身でアピールして、必死に私を求めるアルに頬が緩む。
(ママもお仕事頑張るから、アルとルルも、頑張れー!)
気持ちを、母から仕事モードに切り替え、職場となるナースステーションへ、向かう。