俺様石油王に懐かれて秘密の出産したら執着されてまるごと溺愛されちゃいました
「お二人は、石油王と称され、莫大な資産もあって見た目も良い。 ずっと近くに居て、自分が特別になったと、勘違いしそうになる気持ちもわかるが…… 」
「そんな…… 、勘違いなんてしてません!」
彼らに変な噂が立っては、申し訳ない。
ブンブンッと、首を振って必死で否定をする。
「本当にそう言い切れるのか? ここでは患者は富裕層が多く、夢見る奴も少なくない。 何人もそう言って、肉体的に迫る事実があるのは確かだ」
「……もちろん、誓って、言い……きれ、ます…… 」
一瞬、アミールの顔が浮かび、言い淀んでしまう。
「ましてや、この国は一夫多妻が認められている。 少なくなったとはいえ、一部の富裕層では未だに、何人も妻を持つ者もいる」
「……一夫多妻…… 」
(そういう国があるとは、聞いた事があったが、まさかここが、そうだったなんて、思ってもいなかったわ…… )
何故か、モヤモヤした気持ちが、心の中に広がった。
(なんだろう…… この感情…… )
突然の情報と、自分の言い表わせない感情を整理出来なくて、戸惑いを隠せない私をよそに、現地スタッフは言葉を続ける。
「まあ、第二夫人、第三夫人なら、外国人でも、可能性があるかもしれないがね。 兎に角、私としては業務に支障がある様な事は、困るんだよ」
「特に、寄付金が貰えなくなる様な、面倒はね…… 」
ボソッと、小さな声で彼は呟き、前方の病室に目を向けた。