俺様石油王に懐かれて秘密の出産したら執着されてまるごと溺愛されちゃいました
アミールside2
アイシャが手を回し、一花を俺達の専属看護師から外したのは、わかっていた。
「相変わらず、やる事が下らないな」
「そう? 可愛いじゃない、気を引きたくて必死で」
カミールは、フフッと笑ったが、俺は一花に逢えなくて、イライラしていた。
「でも、今回はお仕置きが必要だね。 僕だって、一花の事、お気に入りだったんだから」
「…… は?!」
俺は片眉を上げ、思わずカミールを睨みつけた。
「一花は俺のだ!」
ククククッ…… 楽しそうに笑うカミールは、不思議そうに俺を見た。
「珍しいね、そんなに一人の女の子に執着するなんて。 何で? 」
「……お前もわかっていると思うが、下手に財産があるってだけで、どうやって、俺達を陥れようかと打算的な奴らが多く擦り寄ってくる。 そんな中で、何も考えず、求めず、女を売りにして媚びない、そんな奴、今までいたか? 」
今迄の、不快な出来事を思い出し、自然と眉間に皺が寄る。
「…… まぁ確かにね。 僕もそう言うのが面倒臭くて、恋愛対象は女性じゃないって、言ってるってとこもあるしね」
ニヤッと悪い笑みを浮かべるカミールに、ンン?! と、片眉を上げる。
「…… それはどう言う意味だ? 」
「そのままの意味だよ」
「…… お前…… アイシャを俺に擦り付けたな? 」
「さあね」
昔から、飄々としていてずる賢い。
まぁ、タイプの違うカミールとだからこそ、ビジネスも上手く行ってるのだが…… 、コレが双子の兄じゃなきゃ、徹底的に潰しているけどな。
……だが、一花の事はそれとは別問題だ。
「そもそも、一卵性の双子なんだからさ、タイプも似ていても不思議じゃないでしょ」
クスクスと、おかしそうに、カミールは笑う。
「まぁ、安心してよ、一花はアミールの言う通り、打算的じゃないって事で好感を持っているだけだよ。 お前のパートナーとして、純粋に良いなぁ、と応援してるんだから」
揶揄いやがって…… 、 そう思いつつも、今の隔離状態で俺の出来る事と言えば、早く完治する事だけだ。
一足先に退院する、カミールに、一花と逢いたいと、伝言を頼む事にした。