京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜
「悪い奴だな〜」
「俺、美那ちゃん好きだったけどな」
「たまに付き合ってくれたからだろ」
「なあ、それより──どんな子なんだ? これから来る子は」
「お堅い優等生? 面白味の無い女だけど、そこそこ美人だよ」
「身体も硬いんじゃないか?」
「好きなだけほぐしてやればいいだろ、写真見たら俺は結構好みだったけどなあ。俺が一番最初でもいいか?」
「はは、一番は俺じゃないと可哀想だろ」
遠慮なく続く侮蔑の言葉を、もう聞いていたくない。耳を塞ぎたい。
得意気に饒舌に……品の無い、最低な笑いを交えながら。史織を語るのは、本当に学生時代に憧れていた、あの同級生だろうか。
いや、そんな事より……それどころじゃない。
話に夢中になっている彼らは、史織が近くにいると気付いていない。