京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜

「……あら」

 ブーブーと、機械音が響く。
 乃々夏は失礼します、と断りを入れスマホの画面を確認した。

 ──史織ちゃん

 そう映し出された画面を伏せ、当主に笑みを返す。

「誰だったか?」
「──いえ、何でもありませんわ」
「……そうか」

 そう呟き火鉢をつつく当主の手元を見ながら、乃々夏はふっと笑った。
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