京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜
──ダサい、悪者の台詞そのままである。
そんな思いを噛み締めていると、両脇からガシリと腕を掴まれ動きを牽制された。
「さあさ、もう行こう。いい加減冷えてきちゃったから、あったまろうぜ〜」
(気持ち悪い……でも、時間稼ぎをしないと……)
「離して!」
その言葉に史織は首を左右に振り抵抗する。
「そんな固くならなくても、優しくしてあげるからさ〜」
断固としてお断りである。
ぎっと相手を睨みつけ、思いつく限りこ悪態を吐き出そうと口を開く。
「ふざけんな」