京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜

「うちの庭の灯籠には録画機能がついています。勿論音声録音機能付きです」
「はっ?」
「な、なんだってえ!? そんなの……プ、プライバシーの侵害だぞ!」
「共用の庭園でプライバシーとか言われましてもねえ。不審者が庭に入り込んでも困りますから、お客様の安全を重視した上での計らいですわ」
「録画、機能……」
 慌てふためく二人に対し、史織の力がほっと抜けた。
 これで犯罪の証拠が出せる。

「……旅館勤務は敷地面接が広い上、昼夜を問いません、中には質の悪い方もいらっしゃいますし、夜間は人員も薄くなります。一従業員で対処不可能な場合……ああ、もういいわな。面倒臭、つまりあんたらみたいなどーしよーも無いのが、うちの旅館の従業員にしょーもない事しようとするんを防ぐ為ですわ。ついでにあんたらが投げ捨てた史織のスマホは防犯機能が掛かってるさかい。緊急連絡先を押してから五分。繋がらない場合は警察に通報する仕組みになってるんやわ」
「なっ、なっ……」
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