京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜
しかし四ノ宮の血は次第に薄まり、天啓を持つ者も現れなくなっていった。天才は産まれずとも秀才を育て、四ノ宮は粛々と血を繋げていく。
朔埜は四ノ宮家で二百年ぶりに産まれた天才だ。
先人から受け継いだその片鱗を見て、現当主は大層喜んだ。
現当主は秀才の域は出ない人であったけれど、人を見る目は秀逸な人物だ。だからこそ朔埜を見つけ、乃々夏との婚姻に臨んだのだ。
歴史ある名家であれば四ノ宮を識る、けれどその家柄故に、外腹という外聞を嫌う傾向も否めなかったからだ。
幸い朔埜も乃々夏もお互いを厭う事は無かった。
──だけど、