京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜
「え、うーん……そうですねえ、出来ない事はありませんが……」
「出来るんですか?!」
驚きと期待で声が弾けるように熱を帯びる。
「……昂良さんが言うなら。ええ、調べてみます」
そんな昂良の様子を見て、挾田はにこりと笑う──
もし兄の初恋を手に入れる事が出来たなら……自分はやっと一つ、何かを見出せるのではないだろうか。
そんな思いが心を揺さぶった。
「じゃあ、お願いします……兄の事、知り合いんです。いつか会うかもしれないし、書類上の事だけでなく、どんな人なのか……」
「はは、そうですか。分かりました」
昂良の心情など梅雨知らず、挾田は人好きのする顔で笑っていた。