京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜
どんな偶然を装ったのか、デートの時に両親に鉢合わせてしまった。その際きっちり挨拶してみせた彼女に舌を巻いたものだ。
家柄も問題無く、自分に自信のある彼女は胸を張り笑顔だった。両親にも好感触であったものの、昂良の方は将来の事まで仄めかされて、うんざりしたものだ。
分かったのは自分と父は違うという事。
家柄や価値観で将来を決めてもきっと納得できない。
そもそも求める物を見出したから傍に置いていただけで、生涯を共にしたいなんて言っていないのに……
或いは父もこうだったんだろうか。例え彼女に子供が出来たとて、気持ちは変わらない。
……ただ、彼女の場合は家柄に問題がある。
このまま飽きたと別れれば、責任を追及されるだろうし、逃げる事も許されないに違いない。
だから、
彼女が納得するようなステータスを持った相手。
そんな男が近寄れば、彼女はどんな反応を示すのか興味があった。
だから試した。
あっさりと鞍替えした彼女に苦笑しつつ、昂良は彼女と別れた。
──例え女好きと噂がある男でも。
好きだ、お前だけだと熱っぽく言われれば、自分は他の女たちと違うとのめり込むものらしい。自分に自信のある女なら、尚更。