京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜

 十五歳の時、朔埜を四ノ宮家の現当主が引き取り、その可能性を見い出した。それに父は喜び、母は怒りを見せた。
『あんな外腹の子に乃々夏をやれ言うんですか!』
『東郷家が長年待っていた、正当な次期当主や』
『何が正当なんです! 卑しい女から産まれた汚らしい子や!』
『……言葉が過ぎる。お前の考えと口の方が余程汚らしい』
『なっ、あ、あなた……何て事を……』
『この件に関してはお前の言う事を一切聞く気はない。気に入らんなら東郷家を出て行け』
『まさか、警察庁幹部のあなたが離婚なんて……』
『東郷がずっと大事にしてきたもんや、お前に何が分かる』
『またそれですか! ええ、ええ、分かりまへんとも!』
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