京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜
『でも、あたしは東郷家の一人娘なの……』
『はい、大事なお嬢様です。だからこそ、私はあなたの護衛であり、味方であるとご理解下さい。あなたを守る事は確かに四ノ宮の命令です。ですが、身体に傷が無ければ問題ないという事はないのです』
『……守ってくれる?』
『はい、我が身に代えても』
戦慄く口元をぎゅっと引き結んだ。
──そうね
ずっとあなたは私を守ってくれたものね。
気付きたく無かったけれど……
だって、あなたを一番にしてしまったら、あたしはどうしたらいいの?
必死に繋ぎ止めて来た家族の絆が、きっと解けてしまうだろう。
自分の存在意義も、無くなってしまうかもしれない。そうしたら結果、……あなたに守って貰う価値が、無くなってしまうというのに。