京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜
自分の本心に眉を顰める。
その吐露を引き出し、聞き耳を立てるのが祖父だというのも気に入らない──それなのに、溢れ出した思いは言葉になって留まらない。
望んで、足掻いて、渇望した。
本当は周りが思っている程、何でも持っている訳ではない。それに気付かせてくれた、恩人で、略奪者な兄。そんな彼に抱くのは感謝と憎悪。
同じ思いを彼も抱けばいいと思った。
不幸を望んだのではない。
ただそれで対等になれると思ったから……
「儂が思っていたのとは違うんじゃなあ」
静かに頷く祖父に昂良は顔を上げた。
祖父は自分に何の関心も持たないと、それは子供の時に体感済みだ。
それなのに、彼が今更昂良に何を思うというのか……