京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜

「後ろめたかったんじゃろ、お前は。誰に対しても」
 その言葉に昂良はぴくりと反応した。

 裕福な家庭に恵まれた容姿、秀逸な頭脳に不思議と人を惹きつける人柄。
 全部持っているから当然なんだと、言われてきた。
「……何を、言ってるんですか」

 最初は羨む者たちに自分を知って欲しかった。自分だって悩みくらいある。皆と同じ、ごく普通の存在なんだと。
 けれど次第に、寄り添っても縮まらない距離に虚しさを覚えた。

 やがて年頃になると、好きだと熱心に告げてくる女子が増えた。もしかしたら付き合う恋人なら分かってくれるかもしれない。
 けれどそうやって彼女たちを受け入れても、いつも満たされて幸せなのは相手だけだった。
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