京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜
自分はこれが楽しいのか分からない。
一緒にいる相手に喜んで欲しいと思う。けれどお前は、笑っていればそれでいいのだと言うように。皆それだけしか許してくれない。
誰も自分の葛藤に気付かない。
両親の思考が理解できず苦しくても、裕福だから。彼女と上手くいかなくても、見目がいいから。試験勉強を頑張ったんだと言っても、頭がいいから。
誰かと縁を切っても──あいつは自分たちとは住む世界が違うから。
誰からも目を背けられているようだった。
それが辛くて、やがて……ごめんなさいと。
僕は狡いんだと。
だから、
もっと人として、受け入れて欲しい。
本当の僕は、こんなに醜い──
「自分の代わりにお前を嫌ってくれる人が欲しかったか……大事にされるのは、そんなに苦痛か。いや……お前の悩みは飽和したお前の環境か」
「……」