京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜
「お前を否定する資格など、他の誰にもない。幸せになりたいのなら、もっと自分を愛する事を学びなさい。言いたい奴には言わせておけ。それで例え手を取りあえなくとも、いつか違う形となってお前に残る。だからもう、誰かの為に理想を背負い込むのは止めなさい」
「……僕の事なんて、何も知らないくせに」
祖父の言葉に項垂れる自分がいる。
それと同時に今迄築き、根付いた価値観が、昂良の根底で争い始める。
理想を、綺麗事も、通用しなかったじゃないかと。
「知らん事はない。お前も勘付いているように、四ノ宮の当主は情報戦のエキスパートじゃ。そんな中でお前の事は、……孫の成長は、有り難かったぞ」
「……え」
驚きに顔を上げる。
自分に関心など無いと思っていたのに。
「お前は儂の生き甲斐じゃ。四ノ宮をやる事は出来んが、立派に育ってくれて儂は嬉しい」
「嘘、だ」
興味なんて無いくせに。
そんな素振り見せなかったくせに。