京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜
「それで、結局、どうするんです?」
目の前の威圧感に史織は平伏しそうになる。
自室に戻れば何故かそこには三芳がいた。
目を丸くする史織を他所に、三芳の圧力は変わらない。
彼女は史織が偽名を使って忍び込んだ事も、朔埜を好きな事も、……朔埜から交際を申し込まれた事も知っているようだ。ついでに昂良との見合い話も耳に入っているのかもしれない。
朔埜にとっては母親代わりの女性──
史織はごくりと喉を鳴らした。
「私は、朔埜さんが好きです。彼からも気持ちを返して頂きました。……し、真剣に交際したいと思っています」
ぎゅ、と膝の上で拳をつくり、史織は三芳を真っ直ぐに見つめ返した。