京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜
エピローグ
「──で、来年の五月だって? 何だかトントン拍子に進んだなあ……」
久しぶりに帰った実家で、八つ橋を頬張りながら弟の直樹が口にする。どうやら急に史織が京都にいき、そのまま嫁に行くという事に、現実味が無いようだ。……まあ史織も同じようなものだけど……
母もまた相当驚いていたが、丁度SHAPと握手をしてきたタイミングだった為、暫く夢と現実を行き来しており、質問攻めは免れた。
麻弥子もまた良縁に恵まれたらしく、お見合い相手と結婚に向けて順調に交際を進めているらしい。
そうしてこうして、いつの間にやら──
師走、大晦日である。
最後だから盆と正月は実家で過ごして来いと朔埜から帰省を勧められた。本当は年末年始、旅館は忙しそうで、手伝うというか、現場を知りたかったのだけれど。
来年からは帰れないと言われ、頷いた。