京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜
明るく手を振り背を向ける昂良に頭を下げれば、隣で朔埜が昂良の背を追いかけているのに気付いた。
その先に二人の父、そして母が昂良を待っている。
彼らがこちらに向ける眼差しは、険しい。
兄弟間の隔たりに胸が詰まり、史織はぎゅっと朔埜の手を握った。
困ったように笑う朔埜と視線が絡む。
「すまんな」
「いえ……」
「家族の事……家の事では、きっと迷惑を掛ける事になると思う」
「はい、望むところです。あなたとなら、乗り越えてみせます」
「……うん」
いつも強気な朔埜の自信の無さそうな顔。
腰に添えられた手に自らのものを重ねて、大丈夫だと大好きな人を見上げる。