京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜
「そういえば朔埜さんはクリスマスプレゼントに何か欲しいものはありますか?」
お仕事の時は若旦那、プライベートの時は名前で呼ぶ。朔埜から名前で呼ぶようにと言われて気恥ずかしくてこうなった。今はプライベートなので名前で呼んでみる。……まだ少し恥ずかしい。
「朔埜さん……て、え?」
俯けていた顔を上げると、朔埜がかちんと固まっていた。
「どうかしましたか?」
まさかお茶がやっぱり不味かったとか。
お茶請けのお煎餅が口に合わなかったのかとかが頭に浮かび焦ってしまう。
「……史織」
「はい」
「史織がいい」
「……はい?」
「聞いたやろ、プレゼント。史織」
「……えっ」
「史織が欲しい」
今度は史織が固まった。