京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜

「ご、五月に挙式じゃないですか。焦らなくても」
 言うなれば付き合い始めて三ヵ月だ。でも遅い……のかな、よく分からないのだけれど……
 もにょもにょと口ごもる史織に朔埜が詰め寄る。
「嫌か?」
「いえ、嫌では! 無いんですが……」
 
 すすすと畳の上を引きずられ、朔埜の腕の中に捕われる。
 どうしていいか分からず身を固くしていると、ちゅちゅと首筋に唇が落とされた。
「く、くすぐったいです……」

 思わず逃げ出そうともがくが、朔埜の腕がしっかりと腹に回されており動けない。
「史織……」
「……はい」

 そっと顔を上げれば朔埜が苦笑しながら史織の頬に触れた。
「無理強いはしたくないねん、五月まで待ていうなら、待つから」
「はい……」
 何だか罪悪感が込み上げてしまう。
 それとも残念に思っているのだろうか……
 ぼっと赤くなる顔を隠すように、史織は朔埜の手の上から自分のものを重ねた。
「キスします」
「え」
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