京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜
四ノ宮家は当主を必ず京都に置くという慣わしがある。
朔埜の弟は四ノ宮家の正妻の息子だ。恐らく父は、その息子に東京の仕事を渡したいのだろう。
その為に朔埜を京都に縛りたい。
なんだと思った。
けれど、
『お前は誤解している』
朔埜の心を見透かしたように祖父が笑った。
『四ノ宮は、京都が一番強い』
朔埜には祖父の言わんとしている事が分からなかった。
少なくともその時は。