京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜
観光客でごった返す中、きょろきょろと昨日の女を探す。けれど溢れる人混みに、それは手に負えないと今更ながら気付いて、今度は駅に向かった。
(──どこから来たんや?)
訛りはないようだったから、関東方面だろうか。
東京行きの新幹線乗り場をうろうろと歩く。
けれど、こんなところで鉢合わせたら、驚きを通り越して不審者扱いでもされるかもしれない。
どんな言い訳をしようか、顔を顰めてはにやけるを繰り返していると、気付けば日暮れの時間になっていた。
いい加減にしろと空腹を訴える腹を摩り、自分がどれだけここにいたのか改めて気付く。
朝ホテルで目が覚めてから高台寺に向かい、それからずっと駅にいる。
昨日一度会っただけの女を当てもなく探して歩いていた。どこかで会えると確信めいた感情に流されて、不思議なほど舞い上がって……