京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜
4. 予想外の邂逅
1. 仕事とプライベートは分けましょう
ひぃっ、と喉の奥から迫り上がってきそうな悲鳴を飲み下し。
「も、も、申し訳ありません!」
(何この人、怖い!)
史織は再び頭を下げた。
目の前で不穏な気配を撒き散らす朔埜に、震えが止まらない。
(麻弥子ちゃん、あなたのお見合い相手はとても怖い方です……)
部屋に戻ったらメモ帳に書いておこう。
忘れようと思っても無理な気がするけど。
「こんなんでちゃんと働けるんか怪しいもんやな」
みしぃっと音の鳴る竹箒を片手に、朔埜は意地悪く笑う。史織は途方に暮れた思いで再び謝った。
「申し訳ありません……」
……同じ謝罪を二度言うくらいしか出来ない。
それに挨拶すらまともに出来ないと叱責されるのは、結構辛い。しょぼんと肩を落とすと、朔埜は僅かに動揺を見せた。