京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜

 二週間後に行われるのは、四ノ宮家主催のパーティーだそうだ。朔埜は宴会と言っていたけど、パーティーだ。規模的にあれは、多分。
 東京を拠点にしている朔埜の父が息子を連れてこの地で要人たちをもてなす。朔埜の父は東京を居住としているから、実家と疎遠なんて言われているから、それを否定する意味合いもあるのかもしれない。

 それにしても、その規模といったら。
 どうやら国際的なもののようで、この日の為に外国語を話せるスタッフを手配したり、会場担当者と打ち合わせしたり……その作業の多さに、旅館てこんな事するんだ? と連日のように驚いている。

「ここで結婚式や披露宴を挙げるお客様もいますからね。パーティーを催す事も多いのですよ」
 そう教えてくれたのは辻口だ。
 
 史織が凛嶺旅館に来てから一週間。
 三芳指導の元、史織は旅館勤めのイロハから礼儀作法のあれこれから旅館のルールまで幅広く学んでいる。スマホの使い方講座まであるのだから徹底したものだ。
 今は忙しいのもあり、僅かに時間が短縮されているが。その短い時間でも三芳の教育的指導は恐ろしく厳しい。

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