スノー&ドロップス
 一週間ぶりの学校は、相変わらず騒がしい。夏休み前、最後の登校ということも関係しているかもしれない。
 普段なら関わらない女子たちが、私の机を取り囲む。

「青砥さん、ちょっと聞きたいことあるんだけど」

 挨拶でもなく、第一声がそれってと思いながら、視線を合わせた。

「雪ちゃんって、なんで休んでるか知ってる?」

「一緒にいたわけじゃないよね? 期間被りすぎてて、ちょっと怪しくないって話してたんだ」

「旅行とか行ってたりしてーって」

 口々に話すから、入り込む隙がない。一通り終わったタイミングで、小さく息を吸う。


「……わからないです。すみません」

 か細い声は、彼女たちに届いたらしい。一瞬、目を丸めながら、「おおー」と反応がくる。

「あ、うん、こっちこそごめん。だよね。ありがと」

 話してるの初めて聞いたかも。そんな会話をしながら、彼女たちは去って行った。
 学校でしっかりと声を出したのは、これが初めてかもしれない。

「ええー⁉︎」

 一人の女子生徒の声で、教室が静まり返る。何事かと顔を上げたら、前のドアから注目を浴びて入ってくる人がいた。
 絹のような白い髪をなびかせて、颯爽と歩いて来たのは、ブレザーにズボン姿の藤春くんだった。
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