スノー&ドロップス
「……ネットで見つけて、見よう見まねで。なので、あまり……センスはないですが」

 ブルーのブレスレットを付けて、藤春くんがキラキラと手を動かしながら。

「どう? 似合ってる?」

 この無邪気な笑顔に、心が救われる。

「……はい。とても」

 どうしても御守りを渡したくて、今日の約束を取り付けた。
 呪いは消えたと言っていたけど、実際のところは不明だ。なにもしないで、ただ遠くから見ているだけではいられない。

 少しでも役に立てたら。藤春くんを守ってくれたら。そんな思いが募って、柄にもないことをした。

 そろそろ戻らないと、鶯くんが探しているかもしれない。
 スマホの画面には、やはり鶯くんからの着信があった。マナーモードにしていたから、気づかなかった。

「では、また二学期に学校で。さようなら」

 プライベートで会うことは、もうないだろう。藤春くんは、元から別世界の人。本当に呪いが消えたのなら、私は用無しだ。これで、心置きなく、鶯くんのそばに……いられる。

 背を向けたとたん、目頭が熱くなってきて、ポロリと水滴がこぼれ落ちた。

 あれ……? 私、泣いて……?
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