スノー&ドロップス
「めんどいから、今日行って終わらせちゃおうよ。みんな放課後空けておいてねー」
リーダー的存在の三嶋さんが、無茶な提案をしてきた。他の二人も、私と同じように引き攣った表情をしている。藤春くんは、そうでもなさそうだ。
こうして放課後、強制的に五人でホームセンターへ行くこととなった。
遅くなることを家族トークで伝えたら、すぐに既読がついた。お母さんは頻繁にスマホを見る習慣がないから、おそらく鶯くんだ。
何か言われるかと思ったけど、了解のスタンプだけが送られてきた。みんなの前では、普通の兄妹を演じている。それが心苦しくて、家にいる時は息が詰まる。
昨日のことは聞かれなかった。鶯くんにとって、重要だったのは藤春くんの髪を切ることではなく、私の髪が切られないこと。前髪が無事だとわかったら、安心して部屋へ戻って行った。
鶯くんにとって、私という存在は必要不可欠なものなんだろう。
学校から十五分ほど歩いた場所にあるホームセンターへ向かいながら、みんなの姿を眺める。三嶋さんと藤春くんが先頭に並んで、その後ろに普通グループの男女、少し離れて私がついていく。
正直、この方が楽だ。誰かと話す労力を使わなくて済むし、藤春くんと距離を保てる。
「あ、この辺ってたしか、白婆が出る場所だよな?」
辺りを見渡しながら、杉山くんがなにか思い出したように話しだす。
「白婆ってなに? 妖怪のたぐい?」
隣の松川さんが反応すると、二人の会話は妙なことになっていく。
「知らねぇの? この地方に伝わる化け物だよ。ほらあれ、雪女のこと」
リーダー的存在の三嶋さんが、無茶な提案をしてきた。他の二人も、私と同じように引き攣った表情をしている。藤春くんは、そうでもなさそうだ。
こうして放課後、強制的に五人でホームセンターへ行くこととなった。
遅くなることを家族トークで伝えたら、すぐに既読がついた。お母さんは頻繁にスマホを見る習慣がないから、おそらく鶯くんだ。
何か言われるかと思ったけど、了解のスタンプだけが送られてきた。みんなの前では、普通の兄妹を演じている。それが心苦しくて、家にいる時は息が詰まる。
昨日のことは聞かれなかった。鶯くんにとって、重要だったのは藤春くんの髪を切ることではなく、私の髪が切られないこと。前髪が無事だとわかったら、安心して部屋へ戻って行った。
鶯くんにとって、私という存在は必要不可欠なものなんだろう。
学校から十五分ほど歩いた場所にあるホームセンターへ向かいながら、みんなの姿を眺める。三嶋さんと藤春くんが先頭に並んで、その後ろに普通グループの男女、少し離れて私がついていく。
正直、この方が楽だ。誰かと話す労力を使わなくて済むし、藤春くんと距離を保てる。
「あ、この辺ってたしか、白婆が出る場所だよな?」
辺りを見渡しながら、杉山くんがなにか思い出したように話しだす。
「白婆ってなに? 妖怪のたぐい?」
隣の松川さんが反応すると、二人の会話は妙なことになっていく。
「知らねぇの? この地方に伝わる化け物だよ。ほらあれ、雪女のこと」