スノー&ドロップス
「あ、ごめん。つい」

 藤春くんの手が離れたとき、ブルーのパワーストーンが見えた。魔除けとして渡したブレスレットを、使っていてくれたのだ。学校では、一度も見かけたことはなかったのに。

 それと同時に、別の(あと)もあった。白い肌に目立つひび割れのようなもの。青を深くしたような、不思議な模様だ。
 すぐに隠れてしまったから、はっきり見えたわけではない。あれは、なんだろう。

「呪いって……どうなったんですか? ほんとに、もうなにも……?」

 足首が疼く間だけ。帰れない今だけなら、話していられる。

「進行してるかってこと?」

「……はい」

「さあ、どうだろうね。本物の恋を見つけたから、たぶん大丈夫なんじゃないかな」

 本気か冗談かわからない笑い方をして、藤春くんは腰を上げた。
 待って。引き止める理由などないけど、つられて私も立ちそうになる。


「俺のために死んでって言ったら、青砥さんは死ぬの?」

 振り向いた藤春くんが、そんなことを口にした。さっきとは違い、目が真剣だった。

「……えっ」

 それなのに、私はなにも答えられなかった。バカみたいに口をぽかんと開いたまま、石のように固まって。間抜け面を晒していただろう。
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