スノー&ドロップス
「……っ」

 思わず体がのけぞるけど、ぐっと腕を掴まれて。

「友達になるって話、考えてくれた?」

 雪の結晶のように白い肌と、指先から伝わる冷んやりとした感覚ばかりに意識がいく。

 あらためて目の当たりにすると、雪女の末裔と言われても違和感はない。

 そんな嘘をついたところで、彼女になんのメリットもないのは分かっている。

 藤春さんは、いい人だけど……でも。

 そっと腕を引いて、スマホの画面を向けた。


『ごめんなさい』

 鶯くんとの約束を破りたくないから、友達にはなれない。

 無言で立ち上がって、資料室を出ようとした。


「……呪われてるって、言っても?」

 聞くつもりなんて、なかったのに。
 気付いたら、ドアを開けようとする手が止まっていた。

「わたし、家系の呪いのせいで長く生きられないの。だから、青砥さんと少しでも仲良くなれたらいいなって」

 どこまで信じていいのか、正直分からない。
 現実的な話じゃないことくらい、無知な私でも判断できる。

 それを信じさせてしまう、藤春さんの氷のような手があるの。
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