お砂糖味のキス
僕は数ヶ月先に生まれただけの同い年なのに,どうも君は僕を兄のように見ている。

心のなかで,僕はもう一度ため息をついた。

そしてニコニコしている彼女の頭をそっと撫でる。

そうしたらまた,君は嬉しそうに笑うんだ。

ほんの少し,そろそろ理性が効かなくなりそうだ。

拒否に見えないように細心の注意をはらって離れると,僕はいつもの言葉をかける。



「ほらっ遅れちゃうよ。そろそろいこっか」

「うんっ」



いつもと同じ様に,元気良く返事をする君。



「……はぁ」

「どうしたの?」



しまった。

いつもなら絶対に気付かれないようにするのに……

どうも今日は,よくため息が出る上に,気が緩んでしまっているようだ。

君と並ぶ通学路。

僕は変わらない日常に,ほんの少し飽きて,またほんの少しイラついていた。
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