お砂糖味のキス

変な君

どうして奏詞は私を見てくれないんだろう。

家を1つ挟んだ先にある,私の大好きな人の家に向かう途中,今まで何度考えたか分からないことを考える。

どうせなら,家も隣が良かったな。

家の前に来ると,タイミングよく扉が開いた。

いつものこと。

何故か奏詞は,いつも私が来たのが分かるみたいにして扉を開ける。

深く考えずに,私は扉の向こう側の人物に飛び付いた。

もし奏詞じゃなかったら気まずいけど,私は奏詞だと確信しているからきっと大丈夫。

抱きつくのだって本当は恥ずかしいけど,もう習慣みたいなもので,なかなか止められない。

ぎゅってする瞬間,奏詞の大好きな匂いがふわってして,ちょっとドキドキする。

だけど,奏詞は全くそんな素振りを見せなくて,それが意識されてない証拠みたいで悔しい。

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