お砂糖味のキス
20分くらいぷらぷらして,帰ろうと思うと辺りの景色が少し変わっていた。

日はほぼ落ちて,温度もちょっと変化したようだ。



「あんまり遅くなると,古都の家もご飯になっちゃうからなぁ」



よし。

久しぶりに走ろうと足にグッと力を込めたときだった。



「もぅっ何それ! じゃあまたね。」



間違えるはずもない,もうとっくに帰っているはずの大好きな女の子の声を,耳がキャッチしたのは。



「…ぇ……?」



何,それ。

普通に焦る。

ってゆうか誰。

あの子の知り合いで僕が知らない人なんていないと思ってた。

でも,古都は人見知りだし……何よりまたねなんて知り合いにしか言わない。

僕たちだって学校があって,クラスも違うから,四六時中一緒にいる訳じゃない。

だから,いくら古都が報告みたく毎日僕に沢山の事を話してくれても,僕の知らない交流があったとして,何も不思議じゃない。

やっぱり,古都を1人で帰さなければ良かった。



「~っ古都!!」
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