今日も一緒に帰ろう
「なんですか、先輩」

「ごめんなさい、私、家に上がり込んだ上にベッドまで使っちゃって」


すると鵜飼くんは柔らかく笑って、目を細めた。

なんだか少し切なそうな表情なのは、朝日のせいだろうか。



「いいんです。俺は、先輩のこと後輩としてしか助けられないから。……じゃあ」


鵜飼くんはカバンを持って、部屋を出た。

待って、一人にしないで。

と言えるはずもなく。

その場からただ立ち上がるだけだ。


ガチャリと玄関の鍵をかける音がして、私はするすると座り込んでしまった。



ああ、私、鵜飼くんのこと好きだったんだな。

ようやく、やっと気づいた。


恋人がいながら別に想い人がいる。

なんだ、私がやってることあの人と変わらないじゃない。

出てきそうな涙をぐっと堪え、立ち上がった。


ここにいつまでも居座るわけにはいかない。

私は近くに見つけた自分の荷物を引き寄せた。
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