今日も一緒に帰ろう
待ち合わせから二時間がたった。

やっぱり、こないかなあ……。


だんだん寒くなってきた。もう九時になってしまいそう。


すると、通知を知らせる音が鳴った。

確認してみると、彼からのメール。



「もう、いやだぁ……」


分かってる。分かってるのに。

溢れてきそうな涙を堪えて、私は近くの公園のベンチに座った。



今日は、久しぶりに彼氏と会う約束をしていた。

今まで何回待たされてドタキャンされたかは数える気も起きないけど、私は楽しみにしていたのだ。


……心のどこかでは、裏切られるって分かってたはずなのになぁ。

浮気の現場だって、今まで数え切れないほど見てきた。


偶然会ったときは、なにか言ってくれるのかなって期待してたけど。

「付き合ってやってるんだから浮気くらい許せよ」
と言われてしまった。


別れようと思っても、彼からそれを止められる。
「お前が本命だから」って……。


付き合うって、なんだろう。

一緒にいたいから、好きだから付き合うんじゃないのかな……。


今の状況がどういうことなのか。

自分でも分かってる、つもりなんだけど。

それでも別れられないのは、私の悪いところだと思う。



ハンカチでぎゅっとに涙を拭い、私はのそのそと立ち上がり、駅まで向かった。
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