黒子ちゃんは今日も八重樫君に溺愛されて困ってます〜御曹司バージョン〜

黒子ちゃんの秘密

黒子ちゃんの日常

『私には夫が……』
『でも僕はもう君しか』

20年振りの同窓会で再会を果たした2人は過ちを犯してしまう。彼女を諦められない彼は最初で最後のデートに誘う。

彼は彼女の初恋の相手。
未だに変わらない彼のかっこいい姿。
夫とは違い、優しく女性扱いしてくれる彼。

彼女は彼に再び恋をしてしまう。
そう、禁断の恋を……

　***
うふふ。そう言う展開ですか。
それから、それから？
私はスマホの画面をスライドする。

もちろん、禁断の恋をしているのは私ではない。だって、私には夫もいなければ彼氏もいない。

だがしかし、私はこの平凡で平穏な毎日に満足している。
恋のときめきやドキドキは二次元の世界で十分だ。

世の中には恋愛に向いている人と向いていない人がいて、明らかに私は後者である。

現実の恋に時間やお金を割くくらいなら夢が溢れる漫画の世界へ投資する方がよっぽど効率的だ。

気に入った漫画はお金に糸目を問わず大人買いできるくらいのいい年になったのでストレスもなく没頭できる。

ー今日もご馳走様でした。

現実逃避が終った後はスマホを閉じて日々の疲れを癒すため、気分に合わせた入浴剤を入れたお風呂に入る。

平日は仕事の疲れもあってシャワーで済ませるが、休日だけは自分を奮い立たせ、湯を沸かし、お風呂場で美容の為のひと時を過ごすと決めている。

今日の入浴剤は官能的と言われるムスクが入った上品で大人なフローラルな香り。プルプルのフェイスマスクもつけて大人な香りを堪能する。

誰の為でもない、自分の為の至福の時間。

お金も時間も自分の為だけに使えるのは独身の醍醐味。そして誰に媚びるわけでもなく、自分の満足の為だけに費やす贅沢さ。

私は幸せ者だ。

お風呂から上がり、大人なシルク生地のパジャマに着替え、今日も変わりなくベッドの上で一日を終えた。