黒子ちゃんは今日も八重樫君に溺愛されて困ってます〜御曹司バージョン〜
私達は、映画終わりにいつものカフェに移動して映画談義を始めた。
「面白かったのにこれからって時に寝ちゃった。ごめん」と眠たそうな目をこすりながら八重樫君は言ってきた。
「私になんて謝らないで大丈夫ですよ。本当に疲れてるんですね」
「うん、最近寝る時間なくて」
寝る時間がないのならこの時間を睡眠時間に当てればいいのに。
まぁ、ある意味寝たたけど。
「営業ってそんなに大変なんですね」
「まぁ、俺の場合色々あるから」
色々とはなんだろうか。
聞きたいが聞いたらドツボにハマりそうなのでやめておこう。
「それよりさっきの映画さ――」
見逃したところがかなり気になったのだろう八重樫君は映画の詳細を私に聞いてきた。
眠っていたのはたった10分程だと思っていたがその前後も朦朧としていたのだろう。
重要なシーンの約30分間の内容がすっかり抜け落ちていた。
「そういう展開だったんだ。スッキリした! もう一回見たいな」
「いつでもお供しますよ」
「本当?」
八重樫君と話すことが楽しくてついつい口走ってしまった言葉だが、こんなに嬉しそうに笑う八重樫君を前に言葉を撤回することなんてできない。
まぁ、本当に2度目が来てもいいかもしれない。
その後は、お互いの好きなコメディー映画の話で盛り上がり、あっという間に時間が過ぎていた。
席を立ち、カップを返却口に片付けていると八重樫君が私の後ろにピッタリと寄り添ってきた。
「ねえ、今日、二条さんとずっと一緒がいい。俺のうちに来ない?」
な、なに? これはどういう展開ですか?
「手を繋いでくれるだけでいいから」と言って八重樫君は私の肩に顎を乗せてきた。
近い! 近いです!!
私は返却口にカップを押し入れ、八重樫君から離れた。
「ダメ?」
「もちろんダメですよ」
「じゃあホテルは?」
いやいや、ホテルって何も変わってない!
「分かったよ。カラオケとか漫喫でもいいから」
「行きませんよ」
「つべこべ言わない」
八重樫君はそう言って私の手を掴んで歩き始めた。
いやいや、つべこべ言っているのは君ですよ八重樫君。
そしてどこに行くのさ八重樫君。
連行された先はラブホテル、ではなく、カフェの向かいにあった漫画喫茶だった。
何故だかほっとする。
八重樫君に言われるがまま財布の中から会員証を取り出し渡した。
たまに行く漫画喫茶の系列店で良かった。
気になっている漫画も揃っている。わーい! って私は何故会員証を渡し、読みたかった漫画を目で探しているんだ!
「あっちだって」と受付を終えた八重樫君が声をかけてきた。
「あの、私帰ります」
「え? 金払ったんだし、終電ないよ」
時計を見ると確かに今からじゃ終電に間に合わない。いつもはタクシーに乗せてくれるのに意地悪だ。
仕方ない。
「私は何番ですか?」
「こっち」
さすが紳士な八重樫君。エスコートは欠かさない。
ほの暗い迷路のような店内を進み、八重樫君が開いた扉の先はどう見てもひとり用ではない空間だった。
「お間違いでは?」
「間違ってないよ」
「面白かったのにこれからって時に寝ちゃった。ごめん」と眠たそうな目をこすりながら八重樫君は言ってきた。
「私になんて謝らないで大丈夫ですよ。本当に疲れてるんですね」
「うん、最近寝る時間なくて」
寝る時間がないのならこの時間を睡眠時間に当てればいいのに。
まぁ、ある意味寝たたけど。
「営業ってそんなに大変なんですね」
「まぁ、俺の場合色々あるから」
色々とはなんだろうか。
聞きたいが聞いたらドツボにハマりそうなのでやめておこう。
「それよりさっきの映画さ――」
見逃したところがかなり気になったのだろう八重樫君は映画の詳細を私に聞いてきた。
眠っていたのはたった10分程だと思っていたがその前後も朦朧としていたのだろう。
重要なシーンの約30分間の内容がすっかり抜け落ちていた。
「そういう展開だったんだ。スッキリした! もう一回見たいな」
「いつでもお供しますよ」
「本当?」
八重樫君と話すことが楽しくてついつい口走ってしまった言葉だが、こんなに嬉しそうに笑う八重樫君を前に言葉を撤回することなんてできない。
まぁ、本当に2度目が来てもいいかもしれない。
その後は、お互いの好きなコメディー映画の話で盛り上がり、あっという間に時間が過ぎていた。
席を立ち、カップを返却口に片付けていると八重樫君が私の後ろにピッタリと寄り添ってきた。
「ねえ、今日、二条さんとずっと一緒がいい。俺のうちに来ない?」
な、なに? これはどういう展開ですか?
「手を繋いでくれるだけでいいから」と言って八重樫君は私の肩に顎を乗せてきた。
近い! 近いです!!
私は返却口にカップを押し入れ、八重樫君から離れた。
「ダメ?」
「もちろんダメですよ」
「じゃあホテルは?」
いやいや、ホテルって何も変わってない!
「分かったよ。カラオケとか漫喫でもいいから」
「行きませんよ」
「つべこべ言わない」
八重樫君はそう言って私の手を掴んで歩き始めた。
いやいや、つべこべ言っているのは君ですよ八重樫君。
そしてどこに行くのさ八重樫君。
連行された先はラブホテル、ではなく、カフェの向かいにあった漫画喫茶だった。
何故だかほっとする。
八重樫君に言われるがまま財布の中から会員証を取り出し渡した。
たまに行く漫画喫茶の系列店で良かった。
気になっている漫画も揃っている。わーい! って私は何故会員証を渡し、読みたかった漫画を目で探しているんだ!
「あっちだって」と受付を終えた八重樫君が声をかけてきた。
「あの、私帰ります」
「え? 金払ったんだし、終電ないよ」
時計を見ると確かに今からじゃ終電に間に合わない。いつもはタクシーに乗せてくれるのに意地悪だ。
仕方ない。
「私は何番ですか?」
「こっち」
さすが紳士な八重樫君。エスコートは欠かさない。
ほの暗い迷路のような店内を進み、八重樫君が開いた扉の先はどう見てもひとり用ではない空間だった。
「お間違いでは?」
「間違ってないよ」