黒子ちゃんは今日も八重樫君に溺愛されて困ってます〜御曹司バージョン〜
「家にいないの?」
「えっと、どなたですか?」
分かっていても確かめずにはいられない。
「蓮だよ」
ですよね。
でも何故私の番号を知っているのですか?
「家の前にいるんだけど、今どこ?」
チャイムは八重樫君だったのか。
「仕事は?」
「午後休もらった」
「なら休んでください」
「双葉の看病するために休み取ったんだから、ってか、家にいる?」
私の為になんか休みを取らないでほしい。
というか、休む理由、そのまま言ってないですよね?
「家にいますが、風邪がうつると大変なので帰ってください」
「帰らない」
「帰ってください」
「一目見たら帰るから」
「本当ですね?」
「うん。本当」
私は仕方なくベッドから立ち上がり、全身鏡で髪を整え、玄関を開けた。
「はい、帰ってください」
「チェーン外して」
「いやです」
「見えないからさ」
「見てるじゃないですか」
「はぁ、開けないなら分かったよ。課長に休んだ理由を正直に話してーー」
ちゃんと脅しの材料を持っているとはさすが悪魔。
「見たら帰ってくださいね」
「うん」
一旦扉を閉めてチェーンロックを外した後、再び扉を開いた。
「はい、ではありがとうございました」
扉を閉じようとすると、男の力で玄関をこじ開けられた。
ずるいです。
「一緒に帰ろう」
何言ってんだこの人。
彼はヒョイっと私を持ち上げて、玄関を出た。
「鍵閉めてきて」といつかの運転手に向かって言った。彼も来ていたのか。
「ちょっ、ちょっと」
「鍵どこ置いてるの?」
「テーブルの、じゃなくて、なんなの?」
「看病。俺の家でする」
いやいや、家にあげるのも嫌だが、連れ去られるのも困ってしまう。
「おろして! 通報するよ!」
あっスマホ家の中だ。
「怒るよ!」
平日だからか、騒いでも誰も出て来てはくれない。
運転手は処方箋を持って鍵を閉めている。
二條選手再び窮地に追いやられています!
そんな実況中継が聞こえて来そうだ。
せっかく薬で回復してきた体力も、騒いで一気に力尽きた。
車の中にはホット生姜蜂蜜ドリンクが用意されていた。刺激があるが、甘く優しいところが何となく八重樫君のようだ。
私はこの悪魔から逃げられそうにない。
薄々感じていた。八重樫君にも秘密があると。
スーツはオーダーメイドのように八重樫君にピッタリだし、靴も毎日ピカピカで、持っているもの全てが就職するまで放浪していた人とは思えないくらいの豪華さだった。
それに加えて毎回タクシーを使わせてくれるし、謎の運転手付黒塗りの車。
そして、八重樫君の家だと連れてこられた先は高級住宅地にあるデザイナーズマンション。
窓から見える隣の建物までの距離は東京思えぬ遠さ。
缶詰の中身のようにぎゅう詰めされている訳ではない広々とした空間。
「えっと、どなたですか?」
分かっていても確かめずにはいられない。
「蓮だよ」
ですよね。
でも何故私の番号を知っているのですか?
「家の前にいるんだけど、今どこ?」
チャイムは八重樫君だったのか。
「仕事は?」
「午後休もらった」
「なら休んでください」
「双葉の看病するために休み取ったんだから、ってか、家にいる?」
私の為になんか休みを取らないでほしい。
というか、休む理由、そのまま言ってないですよね?
「家にいますが、風邪がうつると大変なので帰ってください」
「帰らない」
「帰ってください」
「一目見たら帰るから」
「本当ですね?」
「うん。本当」
私は仕方なくベッドから立ち上がり、全身鏡で髪を整え、玄関を開けた。
「はい、帰ってください」
「チェーン外して」
「いやです」
「見えないからさ」
「見てるじゃないですか」
「はぁ、開けないなら分かったよ。課長に休んだ理由を正直に話してーー」
ちゃんと脅しの材料を持っているとはさすが悪魔。
「見たら帰ってくださいね」
「うん」
一旦扉を閉めてチェーンロックを外した後、再び扉を開いた。
「はい、ではありがとうございました」
扉を閉じようとすると、男の力で玄関をこじ開けられた。
ずるいです。
「一緒に帰ろう」
何言ってんだこの人。
彼はヒョイっと私を持ち上げて、玄関を出た。
「鍵閉めてきて」といつかの運転手に向かって言った。彼も来ていたのか。
「ちょっ、ちょっと」
「鍵どこ置いてるの?」
「テーブルの、じゃなくて、なんなの?」
「看病。俺の家でする」
いやいや、家にあげるのも嫌だが、連れ去られるのも困ってしまう。
「おろして! 通報するよ!」
あっスマホ家の中だ。
「怒るよ!」
平日だからか、騒いでも誰も出て来てはくれない。
運転手は処方箋を持って鍵を閉めている。
二條選手再び窮地に追いやられています!
そんな実況中継が聞こえて来そうだ。
せっかく薬で回復してきた体力も、騒いで一気に力尽きた。
車の中にはホット生姜蜂蜜ドリンクが用意されていた。刺激があるが、甘く優しいところが何となく八重樫君のようだ。
私はこの悪魔から逃げられそうにない。
薄々感じていた。八重樫君にも秘密があると。
スーツはオーダーメイドのように八重樫君にピッタリだし、靴も毎日ピカピカで、持っているもの全てが就職するまで放浪していた人とは思えないくらいの豪華さだった。
それに加えて毎回タクシーを使わせてくれるし、謎の運転手付黒塗りの車。
そして、八重樫君の家だと連れてこられた先は高級住宅地にあるデザイナーズマンション。
窓から見える隣の建物までの距離は東京思えぬ遠さ。
缶詰の中身のようにぎゅう詰めされている訳ではない広々とした空間。